韓国産のシリコーンハイドロゲルカラコンには突っ込みどころが多い? 本当に酸素通すの?

韓国の国旗

カラコンは、普通の透明なコンタクトレンズ(クリアレンズ)に比べ、目にかかる負担が大きいとされています。

その理由の一つとなるのが、酸素透過性の問題。カラコンは着色部分があるため、どうしても外部からの酸素の通りが悪くなってしまうんですね。

酸素透過性の良いコンタクトレンズ素材といえば、シリコーンハイドロゲル。カラコンにもシリコーンハイドロゲルを素材に使っているものがありますが、そのほとんどが韓国産だそうです。

酸素透過性が高いなら、目の負担を少しでも減らすために使いたい! という方も少なくないようですが、医学的観点からすると、韓国産のシリコーンハイドロゲルカラコンにもいろいろと突っ込みどころがあります。

今回は、その突っ込みどころを2点にしぼってお話ししていきたいと思います。

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韓国産シリコーンハイドロゲルカラコンの突っ込みどころについて

1.酸素透過率が明記されていない

長いあいだ私はカラコンというものを「酸素透過性が低く、眼に負担が大きい」と思っていたので初めてシリコーンハイドロゲルのカラコンがあると知った時は驚きました。カラコンには悪い噂が絶えないけど、シリコーンハイドロゲルのカラコンならさすがに評判もいいのでは、と。でも調べてみると、そのほとんどは韓国産のようですね……。

ま、まあ国で判断するのはよくない、と思ってそれら韓国産シリコーンハイドロゲルカラコンを取り扱うショップを見てみたのですが、驚いたことに、どれも具体的な酸素透過率が記載されていませんでした。

えー、って思いましたね。

だってシリコーンハイドロゲルって、酸素透過性の良さ、つまり酸素透過率の高さが売りなんですよ?

その実数値を公表して初めてシリコーンハイドロゲル素材を使っている価値が出てくるはずなのに。

これってたとえば、「今年の○○のおせちは中身で勝負!」って書いてあるチラシに実際の中身が書いていないようなもの。シリコーンハイドロゲル素材にとって酸素透過率は命、のはずなのに、それを公表していないなんてはっきり言って怪しすぎます。

シリコーンハイドロゲルの一番売りである部分を伏せて、「酸素透過性が高い!」って言われたって、誰が納得できるのでしょうか。ちょっとコンタクトレンズに知識がある人だったら、「ほんとに?」って疑っちゃいます。

ちなみに、大手メーカーが作っているシリコーンハイドロゲルのクリアレンズはすべて酸素透過率を公開しています。

ワンデーアキュビュートゥルーアイ Dk/L118
エアオプティクスアクア      Dk/L138
バイオフィニティ         Dk/L160

※ Dk/Lというのは、酸素透過率のことです。

ここに挙げた三つのコンタクトレンズは、どれも世界シェアトップ3のメーカーの製品です(上から順にジョンソンエンドジョンソン、アルコン、クーパービジョン)。Dk/Lが100を超え、なおかつ強度のあるコンタクトレンズを製造するには、高い技術が必要になります。

ちなみに、ジョンソンエンドジョンソンなどの大手メーカーで、シリコーンハイドロゲルのカラコンを作っているところはありません。技術的には韓国のメーカーよりはるかに勝るはずなのに、これらメーカーがシリコーンハイドロゲルのカラコンを作らないのは、カラコンをシリコーンハイドロゲルに素材で作るメリットがないから、もしくは、健康面やコスト面を考えた上で現実的ではないからなのではないかと思います。

世界シェア上位3メーカーが製造していないのに、でも韓国ではシリコーンハイドロゲルのカラコンを製造し、それを流通させることに成功している。でも、酸素透過率は公表していない……。

なんだか不自然な話ですよね。

ちなみに、大手メーカーは、普通のカラコンのDk/Lも公開しています。

ワンデーアキュビューディファイン Dk/L33.3
フレッシュルックデイリーズ    Dk/L26
アイコフレ            Dk/L33.3

※日本での知名度的に、3番目には日本のシードのメーカーの製品を入れてみました。

やっぱり素材がシリコーンハイドロゲル誕生以前のものなので、上に挙げたカラコンと比べると酸素透過率もお粗末なものですが、それでもこれらカラコンの公式ページには、ちゃんと酸素透過率が明記されています。

そもそもコンタクトレンズは、高度医療管理機器という、使い方によっては体に悪影響を及ぼしかねないものなので、それに関する情報は、すべて公表するのが普通なのです。

しかも「シリコーンハイドロゲルを使っているから酸素透過性が高い!」と謳っているのなら、なおさらです。

私なんかは結構疑い深いので、こうやって重要な情報が隠されてしまうと「韓国カラコンのシリコーンハイドロゲルって、本物のシリコーンハイドロゲルなのかな」って思ってしまいます。「そもそも韓国メーカーにシリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズを作る技術があるのか」と言ったら言い過ぎかもしれませんが。

ただ、シリコーンハイドロゲルのカラコンがコスト面でも健康面でも現実的なものだったら、すでにジョンソンエンドジョンソンなどの大手メーカーが作っていてもおかしくないはずですからね。

2.そもそも品質的な問題

現在、コンタクトレンズ関連のトラブルの多くが、カラコンの利用者に起きているものだと言われています。

そして、中でも韓国カラコンを使って目にトラブルが起きている人が、結構な頻度でいるそうです。

そもそも韓国カラコンの利用者なんて、カラコンの利用者全体からすればとても少ないはず。にもかかわらず韓国カラコンのトラブルが多く報告されているということは、やっぱり品質的にちょっと弱い部分があるのでしょう。

私がコンタクトレンズに関する情報収集の際に参考にさせて頂いている眼科医の方のブログにも、このようなことが書かれていました。

最初にお示ししたようにトラブルを起こしているカラコンは台湾製や韓国製がほとんどです。

それらの国はコンタクトでは後進国で、性能の良いレンズを作る技術がないものと思われます。

やはり少なくともコンタクト先進国である欧米で作られたカラコンを使用されることをお勧めいたします。

台湾や韓国は、コンタクトレンズにおいては後進国。これは、コンタクトレンズの業界では有名であり、基本的なことです。

先に挙げた世界シェア3位までのコンタクトレンズメーカーがすべてのアメリカのメーカーであることを考えると、やっぱり欧米はコンタクトレンズにおいても先進国ですね。

欧米のメーカーと比べると、日本も技術的にはやっぱりまだ及ばないかな、というような感じがします。

日本で販売されているコンタクトレンズは、厚生労働省によって管理されています。厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室というところが行っているさまざまな臨床試験をくぐり抜けたコンタクトレンズには、承認番号というものが与えられます。

この承認番号は、簡単に行ってしまえば国からのお墨付きです。要は、「間違った使い方をしなければ安全なコンタクトレンズです」と国が証明してくれているようなものですね。

以上を踏まえた上で話を進めていきますが、韓国カラコンをネットで調べてみると、国内承認を得ていないものもかなり多いです。

ちなみに、コンタクトレンズを販売するためには高度医療管理機器等販売許可というものが必要になります。先に述べた通り、コンタクトレンズは高度医療管理機器に含まれるので、この許可を持っていなければいくらネット通販ショップでも韓国カラコンを取り扱うことはできません。

そのため、韓国カラコン専門のネット通販ショップも、さすがにこの許可は持っていて、それを持っているということをホームページ上のどこかで必ず明記しています。(逆に明記していないショップがあったとしたら、そのショップはそもそも信用に足らないということです)

ただ、ここで一つ注意したいのは、高度医療管理機器等販売許可は、あくまでそのショップに対する信用を証明するものであって、商品自体の安全性の証明するものではないということです。

先に述べた通り、高度医療管理機器等販売許可はコンタクトレンズを取り扱うショップすべてが持っていなければいけない最低条件です。言ってしまえば、これを持っているだけでは、信頼性の証明は不十分なのです。

やっぱり、ショップがある程度の信頼性を獲得するためには、取り扱う製品すべてが国内承認を受けていることが重要になってきます。

しかし、韓国カラコンに限らず、カラコンのネット通販ショップを見ていると、高度医療管理機器等販売許可を持っていても、取り扱っている商品の中に国内承認を受けていないコンタクトレンズが混ざっているというショップは少なくありません。

しかも数あるカラコンショップの中には、高度医療管理機器等販売許可の名前を使って、いかにも国内承認を受けたコンタクトレンズを取り扱っているかのような書き方をしているショップもあります。このようなショップには注意が必要です。

取り扱っているコンタクトレンズが国内承認を受けられないからといって、「韓国FDAの承認を受けています」などという表記をしているショップにも注意が必要です。

FDAというのはFood and Drug Administrationの略で、日本語に直すと食品医薬品局、日本で言うところの厚生労働省に当たる機関を示します。

と、このように書くとすごく信頼性が高いようにも思えるのですが、健康や安全に対する認識は国によって大きく違いますし、そもそも韓国FDAという機関の信頼性自体が、私たち日本人にとっては未知数なので、「韓国FDAの承認がある=日本の基準で見ても安全」にはならないのです。

日本では国内承認が下りないカラコンにバンバン承認を与えているということを考えると、韓国FDAの承認のハードルの低さ、というか、日本と韓国での安全に対する認識がかなり違うということが実感されますね。

在韓日本大使館も、この点について、韓国カラコンメーカーに注意喚起を行ったようです。

在韓日本大使館が韓国のカラーコンタクトについて異例の注意喚起を行った。
食品医薬品安全庁が、市中に流通中のすべてのカラーコンタクトに対し、、検査を行った所、検査した60製品中、10製品で色素溶質や細胞毒性が見つかった。かゆみなどの症状につながる「眼粘膜刺激」を起こす恐れがあるという。
また「失明」や「溶出した色素が体液に混ざって循環することを示すデータもあり、ほかの臓器に影響を与える恐れ」もあるため、もし、目に少しでも違和感やかゆみなどの異常を感じた場合や該当商品を購入している場合、すぐに使用をやめ、必ず専門家がいる一般眼科医療機関で受診してほしいと呼びかけている。

以上のことを踏まえると、韓国産カラコンには、シリコーンハイドロゲルがうんぬんという話以前の問題がたくさんあるようです。

今回は大きく「二つの突っ込みどころ」としましたが、実際は突っ込みどころ満載。突っ込みポイントを細かく分けたら一体いくつの突っ込みどころが生まれたのでしょうね……。

まとめとして

今回は韓国産のシリコーンハイドロゲルカラコンについて突っ込んできました。いかがだったでしょうか。

これは私の個人的意見ですが、韓国産のシリコーンハイドロゲルカラコンに手を出すのであれば、ジョンソンエンドジョンソンのワンデーアキュビューディファインなどのような、酸素透過率が低くても安全性が保障されているものの方が、安全で、リスクも低いのではないかと思います。

本来、コンタクトレンズはただでさえ目に負担がかかるもの。それにさらに色が付いているカラコンなら尚更です。「眼の負担を少しでも減らすために韓国産のシリコーンハイドロゲルへ!」は、ちょっと安直かもしれません。

眼の負担を減らしたいのであれば、まずはカラコンの利用時間を減らすこと。単に1日の時間を減らすだけでなく、カラコンをできるだけ付けない日を作るのもいいでしょう。毎日コンタクトレンズをしたいのであれば、酸素透過率の高いクリアレンズと併用していくのもありです。

参考
コンタクトレンズ酸素透過率ランキング

「眼への負担を少しでも減らすために韓国産のシリコーンハイドロゲルカラコンを!」より、むしろコンタクトレンズの使い方の基礎的な部分を整える方が、安全を考える上では効果的でしょう。

カラコン、というもの自体を否定するつもりはありません。やっぱり、おしゃれは大事ですからね。でも、カラコン使うのであれば、自分の眼はちゃんと自分で守るように。カラコン利用者は、クリアレンズ利用者以上に気を遣っていきたいところです。