コンタクトレンズって何歳まで使えるの? 実は刻一刻と縮まっている眼の寿命

眼の寿命

こんにちは、現役眼科検査員の平野です。

突然ですが、皆さんは「コンタクトレンズを付けられる年数には限界がある」という話を聞いたことがありますか?

これは、「何歳までコンタクトレンズを付けていいの?」という話とはちょっと意味合いが異なります。「コンタクトレンズって一生のうち合計何年(何時間)付けていられるの?」という話です。

実は、コンタクトレンズを付けていられるのは、一生のうちの25年が限度と言われています。

これはコンタクトレンズを付けることが、眼にとって重要なある細胞に負担をかけ、死滅させてしまうことに関係しています。

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コンタクトレンズは眼の寿命を削る?

コンタクトレンズを語る上で欠かせない、酸素透過率

Dk/Lという単位で表されるこの数値は、人の眼にとって非常に重要な角膜内皮細胞と密接に関係しています。

角膜内皮細胞とは?
角膜(黒目)の内部組織を形成する細胞の一つで、視界のクリアさを保ったり、角膜の代謝を担っている。

角膜内皮細胞は、生まれた時から数が決まっており、一度減ったら二度と増えることのない貴重な細胞です。この細胞は何もしなくても加齢とともに徐々に数が減っていきますが、角膜の怪我や、手術、酸欠によっても死滅し、減ってしまいます。

怪我・手術・酸欠の三つのうち、コンタクトレンズと一番密接な関係にあるのは酸欠です。

皆さんは、以下のような話を聞いたことはありませんか?

「コンタクトレンズを長時間つけるのはよくない」

「付けたまま寝るのは危険」

コンタクトレンズユーザーなら、一度は聞いたり、あるいは書面などで見たりしたことがある話ではないかと思います。

このようなことが言われるのは、長時間装用によって生じるさまざまなリスク(角膜の傷、乾き目、アレルギー性結膜)を未然に防ぐためでもありますが、それだけでなくコンタクトレンズの長時間装用感により眼の寿命が縮まってしまうことを防ぐ注意喚起でもあるのです。

眼の寿命は角膜内皮細胞の数からわかる?

視界のクリアさを維持し、角膜の代謝を担う角膜内皮細胞。この細胞の数は、専用の機械を使うことで測定することができます。

角膜内皮細胞(健康)

健康な角膜内皮。1ミリ平方あたり約3,200個の細胞がある。

上の画像は、コンタクトレンズを使ったことがない方の角膜を写したものです。

多少画像が荒いですが、画面左側に、小さな六角形が所狭しと並んでいるのがわかると思います。これが角膜内皮細胞です。

角膜内皮細胞は、眼の健康を考えると、1ミリ並行メートル内に2,500 ~ 3,000個は欲しいと言われています。

しかし、コンタクトレンズを長年使ってきた方や、毎日長時間装用をしている方の角膜内皮細胞の数を測定してみると、2,500個以下になってしまっている方がほとんどです。

以下の画像は、コンタクトレンズを30年間使ってきた方の角膜内皮細胞を撮影したものです。

角膜内皮細胞(致命的)

致命的な角膜内皮。1ミリ平方あたり約800個しか細胞がない。

上の画像との違いは一目瞭然ですね。細胞一つ一つが大きくなっていますが、これはズームアップをかけたからではありません。角膜の酸素不足により角膜内皮細胞の多くが死滅し、その穴を埋めようと残った細胞が大きくなり、このように歪な形になってしまったのです。

(この方の場合、1ミリ平方あたりの角膜内皮細胞の数は1,000個を下回っています)

参考:角膜内皮細胞の数とランク

1ミリ平方あたりの角膜内皮細胞の数から、角膜の状態を評価することができます。

 ランク  細胞数
(1mm平方あたり)
A 2500以上 問題ありません。引き続き定期検査を受けてください。
B 2000~2500 使用方法、レンズの種類によっては注意を要します。
C 1500~2000 要注意です。連続装用は不可、決められた1日の装用時間を厳守してください。
D 1500以下 このまま装用を続けると重篤な障害を起こす可能性があります。

(参考:わかくさコンタクト

上でも書きましたが、10代のうちからコンタクトレンズを使っている方の中には、20代にして角膜内皮細胞の1mm平方あたりの数が2,000を切ってしまっている方が稀にいます。

2,000個と言われてもいまいちピンと来ないかもしれませんが、20歳にして60歳以上の方よりも細胞の数が少ないと言えば、その恐ろしさもいくらか伝わるのではないでしょうか。

これも上で書きましたが、角膜内皮細胞は加齢でも少しずつ少なくなります。

20代の時点で角膜内皮細胞が2,000個を下回ってしまった方が60歳になったとき、その眼には一体どれだけの数の細胞が残っているのでしょうか。考えるだけでぞっとします。

角膜内皮細胞が減りすぎると具体的にどうなる?

コンタクトレンズの長時間装用などにより角膜内皮細胞の数が極端に減るとどうなるか、もう少し具体的に書いてみましょう。

視界が濁る

角膜内皮細胞は視界の透明度を司る細胞です。そのため、数が極端に減ると、視界のクリアさが下がり、濁ったような見え方になってしまいます。

もちろん、眼鏡やコンタクトレンズでいくら視力をあげても、この濁りを消すことはできません。

参考画像

以下のサイトで濁った状態の眼の写真を見ることができます(要スクロール)。

朝日ケ丘コンタクトレンズ研究所

※ややグロテスクな写真なので苦手な人は注意

角膜のむくみ、痛み

角膜内皮細胞が極端に減ると、角膜がむくみ、痛みが生じるようになります。

この症状が出る頃には、細胞の数はかなり少なくなっていると言えます。

角膜の治癒力が下がる

角膜内皮細胞は角膜の代謝を担う細胞です。

そのため、数が極端に減ってしまうと、角膜に傷ができた時に治るのが遅くなり、感染症にかかるリスクが高まります。

白内障の手術ができなくなる

白内障の手術のは角膜を切開して行います。そのため、角膜の治癒力が下がっていると、術後感染症にかかるリスクが高いことから、手術ができないと判断されてしまうことがあります。

白内障は、水晶体が白く濁り、ものの見え方が非常に悪くなる病気です。発症率が非常に高いことでも有名で、60代の方で約70%、80歳以上になるとほぼ100%発症すると言われています。

白内障は、手術をすれば簡単に治せますが、逆を言うと、手術でしか治すことができません。これを手術で治せないとなると、老後をかなり厳しい見え方で過ごすことになります。

※一応、健康な角膜移植してから白内障の手術を行うという方法もあります。

レーシックが受けられなくなる

レーシックは、角膜表面を削ることで眼に入ってくる光の屈折度を調整する手術です。

角膜内皮細胞が極端に減っていると、角膜を削ろうにも削る部分がない、という状態になってしいます。

将来的にレーシックを受けたいと考えている方は、コンタクトレンズの使いすぎには注意です。

眼の寿命を延ばすために。角膜内皮細胞を減らさずコンタクトレンズを使うには?

ここまで読んでくれた方なら分かると思いますが、角膜内皮細胞は、眼の寿命と直結しています。

つまり、角膜内皮細胞の減少速度に大きく影響するコンタクトレンズも、眼の寿命と密接な関わりを持っているといえるのです。

皆さんのコンタクトレンズの使い方は、本当の意味で健康的と言えるでしょうか。

以下に、コンタクトレンズをを健康的に使うために重要となるポイントを五つまとめてみました。あなたの眼の寿命のためにも、以下のポイントをできるだけ意識しながらコンタクトレンズを使ってみてください。

コンタクトレンズは寝る前に必ず外す。

コンタクトレンズを使う上での基礎中の基礎、とても大切なことです。

角膜内皮細胞だけの話でなく、その他いろいろな眼のトラブルを避けるためにも、寝る前に必ずコンタクトレンズを外しましょう。

酸素透過率の高いコンタクトレンズを使う

コンタクトレンズの酸素透過率は製品によって大きく異なります。眼の健康を考えるなら、なるべく酸素透過率の高い製品を使うようにしましょう。

昔はソフトコンタクトレンズよりもハードコンタクトレンズの方が断然いいと言われていましたが、最近では素材にシリコーンハイドロゲルを使った酸素透過性の高いソフトコンタクトレンズも増えてきて、ハードコンタクトレンズの方がいいとは一概には言えなくなってきました。

ハードコンタクトレンズを使えるならそのままハードコンタクトレンズでいいですが、ソフトコンタクトレンズしか使えないという方は、可能な限り酸素透透過性の高いシリコーンハイドロゲル素材のものを使うといいでしょう。

どのソフトコンタクトレンズがいいのかわからない、という方は以下の記事が参考になると思います。

ソフトコンタクトレンズ酸素透過率ランキング
おすすめコンタクトレンズランキング -1day編-
おすすめコンタクトレンズランキング -2week編-

コンタクトレンズを使わない時間をなるべく増やす

どれだけ酸素透過率の高いコンタクトレンズを使っても、裸眼の状態にはかないません。そのため、角膜に負担をかけない一番の方法は、ずっと裸眼(メガネ)でいることです。

しかし、度数の強いメガネを使っている方や、メガネがかけられない仕事をしている方にとっては、「コンタクトレンズをつけないわけにはいかない」という方もいると思います。「美容的観点からメガネは避けたい」という方もいるでしょう。

そのような方は、眼にかかる負担を減らす(角膜により多くの酸素を供給する)方法を考えてみましょう。

たとえば……

  • 家にいるあいだはずっと裸眼orメガネにする
  • 週に1、2日はコンタクトレンズをつけない日を作る
  • 1日のコンタクトレンズをつけている時間が長くなりすぎないよう、途中でコンタクトレンズをはずしメガネに切り替える

などといったことを行うだけでも、角膜にかかる負担を減らすことができます。

コンタクトレンズの正しい使用方法を守る

眼科にくる患者さんの中に、たまにこんな方がいます。

「1dayを洗って再利用しています」

「2weekだけどもう1ヶ月くらい使ってます」

「洗うの面倒くさくて適当にやってます」

「このハードコンタクトレンズ、もう5年くらい使ってます」

言わずもがな、このような使い方は眼にとってかなりリスクが高く、危険です。中にはこれよりもひどく、もはや自殺行為としか言えないような使い方をしている人もいます。これでもしトラブルが生じても、誰にも文句を言うことはできません。

そもそも、汚れたコンタクトレンズは清潔なコンタクトレンズに比べ酸素透過率が大きく下ります。上に挙げた例は、どれもレンズの汚れやすくするものです。

それぞれのコンタクトレンズに1dayや2weekといった寿命が設けられているのは、構造上、その程度の帰還しか保たないように作られているからです。1dayが1日しか保たないのは、汚れへの耐性が極端に低く、1日でダメになってしまうからです。

コンタクトレンズの表面に汚れが付き、固まってしまうと、一生懸命こすり洗いをしてもなかなか落ちなくなります。また、毎日丁寧に洗浄していても、使っていれば必ず汚れが付きます。

極端な例ですが、数日前の食事の汚れがこべりついたスプーンを口に入れたいという方はいないと思います。

汚れたコンタクトレンズを使い続けるということは、口内よりも体制の低い眼に対し、それと同じようなことをしているようなものなのです。

まとめ

コンタクトレンズの情報サイトを運営している人間がこんなことを言ったら本末転倒かもしれませんが、眼の健康を考えるなら、本当はコンタクトレンズなどつけない方がいいのです。

最近ではコンタクトレンズの性能も少しずつ上がってきていますが、今後どんなに性能がよくなっても、裸眼に勝る、裸眼に等しいレベルになるということはないでしょう。

つまりコンタクトレンズを眼に入れるということは、眼にとってリスクであり、どうあがいても眼の寿命を縮めることになります。

ただ、私も含め、ユーザーにとってコンタクトレンズは必須アイテムです。コンタクトレンズをどうしても使いたい、コンタクトレンズのない生活なんて考えられないという方もいるでしょう。

であれば、せめて角膜内皮細胞や眼の寿命に関するちゃんとした知識を持って、可能な限りリスクの低い使い方をするようにしましょう。私がこの記事を書いたのは、このことを皆さんに伝えたかったからです。

角膜内皮細胞が極端に少なくなると、眼科医からコンタクトレンズ使用に対するドクターストップがかかります。つまりずっとは使えません。私がこの記事のタイトルが「コンタクトレンズっていつまで使えるの」とし、冒頭で、「コンタクトレンズをつけていられるのは一生のうちの25年が限度」と書いたのはこのためです。

しかし、これは何も対策をしなかった場合の話。

私が上に挙げたいくつかのポイントを意識して、とにかく眼に負担がかからないようコンタクトレンズを使えれば、コンタクトレンズを使える年数は25年よりもっと長くすることができるでしょう。

参考文献

当記事の執筆にあたり、以下のサイトを参考にさせていただきました。

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