寝ながら視力回復? オルソケラトロジーの特徴やメリットデメリットなど。

オルソケラトロジー中の女性

この記事では、特殊なハードコンタクトレンズの性質を利用した視力回復療法「オルソケラトロジー」について記載しています。

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オルソケラトロジーとは?

オルソケラトロジーとは、特殊なカーブデザインのハードコンタクトレンズを装用することで角膜の形状を固定・変形させ、近視などの角膜屈折以上を治療する角膜矯正療法です。「オルソ」は矯正の意、「ケラト」は角膜の意、「ロジー」は学問あるいは療法を意味します。

ハードコンタクトレンズは、ソフトコンタクトレンズよりも固い材質でできているため、長期装用していると角膜の形を微かに変形させます。オルソケラトロジーは、その性質を元に考案された療法です。レーシックのような手術ではありません。

主な手順は以下の通りになります。

  1. 酸素透過性の高いレンズを夜間、もしくは就寝中に装用し、角膜の形状を矯正する。
  2. レンズを外し後もしばらく矯正視力が持続するので、日中は裸眼で生活できる。
  3. 夜間に再びレンズを装用し、就寝する。

こちらの画像を見ると、オルソケラトロジーがよりイメージしやすくなるかもしれません。


(出典:ルミネはたの眼科

オルソケラトロジーのレンズは、普通のレンズと比べると独特な形状をしています。このレンズで角膜の形状を変化させることにより、意図的に角膜の屈折力を調整して、裸眼でも高い視力を出せるようにします。

画像の中の「就寝前」と「翌日」の角膜の状態を比べると、「翌日」の角膜表面は、「就寝前」と比べてだいぶ平坦になっていることがわかると思います。このように角膜表面が平坦になっていると、矯正が働き、裸眼でも高い視力を得ることが

オルソケラトロジーのレンズを付けていないと角膜の形状はまた少しずつ戻ってくるので、翌日の夜、もう一度レンズを付けて角膜の形状を変形させます。この一連の流れがオルソケラトロジーなのです。

オルソケラトロジーのレンズはなぜ夜間装用できる?

オルソケラトロジーに使われるコンタクトレンズは、FDA(アメリカ食品薬局)や日本の厚生労働省に認可を受けた角膜矯正用の「高酸素透過性コンタクトレンズ」です。このコンタクトレンズは通常のコンタクトレンズに比べ遥かに酸素の透過性が優れており、角膜の形を調節する独特のカーブや、ドライアイ防止用に涙液のたまる窪みがデザインされているので、寝ている間でも目が乾きにくくなっています。

現在、オルソケラトロジーは、低いリスクで裸眼視力を回復させられる療法として人気がありますが、同じ視力回復の手段として有名な「レーシック手術」のように、やはりこの療法にもメリットとなる部分とデメリットとなる部分があります。

オルソケラトロジーのメリットとデメリット

オルソケラトロジーのメリット

オルソケラトロジーには、以下のようなメリットがあります。

  • レンズを夜間に装用することで視力が矯正され、日中は裸眼で過ごせる。
  • 日中はレンズを付けなくていいので、水泳、サーフィンなど、コンタクトレンズ装用時にはできなかったスポーツができるようになる。
  • レーシック手術とは違い角膜を切るなどの手術をするわけではないので、オルソケラトロジーのレンズ装用をやめれば自分の眼に戻ることができる。(オルソケラトロジーは永遠に効果が持続するものではありません)
  • 未成年でも行なえる唯一の矯正治療である。(レーシック手術の場合、未成年は行なえません)

オルソケラトロジーのデメリット

オルソケラトロジーのデメリット(弱点)は以下の通りです。

  • 眼科的通院管理が必要。定期的に検診を受ける必要があるため、普通のコンタクトレンズを扱うよりも格段に費用がかかる。
  • 角膜への傷や、炎症、感染症などが発生する場合もある。(その場合、薬物療法が必要になります)
  • 強度の近視や乱視を矯正することができない。(具体的な数値で言うと、近視度数が-1.00から-4.00まで。乱視度数は-1.50まで。遠視は強制できません)
  • 運転免許更新時の扱いは、「裸眼」ではなく「眼鏡等」になる。(後に何か起きると厄介なので、免許取得の際にはオルソケラトロジーをしていることを申告しましょう)。
  • ある程度以上の角膜内皮細胞がないと行なうことができない。(1mm平方あたり2,000個以上必要。角膜内皮細胞についてはこちらを参照)。
  • ある程度以上の涙が生成されないと行なうことができない。ドライアイの人は行なうことができない。

ざっと思いつくオルソケラトロジーのメリット/デメリットはだいたいこんな感じでしょうか。

まとめ

細かい点に注目すればまだいくらでも見つかるのでしょうが、基本的には以上の点を抑えておけばオルソケラトロジーについてひとまず理解できていると言えます。

本格的にオルソケラトロジーを始めたいと思っている人は、眼科医と相談してみるといいでしょう。自分の眼がオルソケラトロジーをに対応しているかも調べることができます。