※2016/3/15の記事です。
クーパービジョンのマイデーが日本上陸したらしいですね。
マイデーって何、という方はこちら。

公式サイトを見ても、まだ具体的にどこで取り扱われているかなどは書かれていないので、リアル店舗で買えるようになるまでには、もう少し時間がかかりそうですが。
しかしいずれにせよ、マイデー上陸はビッグニュースですね。
マイデーといえば、世界にまだ3つしかないシリコン1dayの中で最も新しく、長らく日本での発売が期待されていた製品。これでやっと、日本でもすべてのシリコン1dayが買えるようになりました。
さて、今回はそんなマイデーの日本上陸を祝って(?)、マイデーが一体どのような製品なのかをまとめてみたいと思います。
既存のシリコン1dayの「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」「デイリーズトータル1」と比べてどんな感じなのか。何が優れていて、逆に、どういった部分で劣っているのか。
また、それにプラスして、日本でも高いシェア率を誇るクーパービジョンの1day、「プロクリアワンデー」とも比較してみたいと思います。
マイデーのスペック
比較を始める前に、まず、マイデーのスペックを確認しておきましょう。
メーカー | クーパービジョン |
タイプ | 1day |
度数範囲(D) | -0.25 ~ -6.00(-0.25step) -6.50 ~ -8.50(0.50step) |
素材 | シリコーンハイドロゲル |
枚数 | 30枚 |
含水率 | 54% |
酸素透過係数(Dk) | 80 |
酸素透過値(Dk/L) | 100 |
レンズ中心厚(mm) | 0.080 |
ベースカーブ(mm) | 8.40 |
レンズ直径(mm) | 14.2 |
UVカット | 有り |
簡単に解説します。
酸素透過率を表すDk/L値は100。
1dayのDk/lは50を超えないものがほとんどなので、これはかなり高い数値。
ただ、非シリコンの1dayと比べてもあまり意味がないですね。肝心なのは、他のシリコン1dayと比べてどうかという話。これについては後述します。
クーパービジョン製品では珍しく、UVカット機能を完備。おそらく初めててはないでしょうか。紫外線が気になる方にとっては嬉しいですね。
ちょっと気になるのがベースカーブ。8.4mmという値は、全レンズの中でもきつい部類に入ります。
ただ、そんなに神経質になる必要はありません。ネットなどを見ていると、この8.4という数値をすごく気にしている方が多いですが、眼科で毎日コンタクトレンズに触れている人間から言わせてもらえば、そんなに大した問題ではないように思います。
一般的なソフトコンタクトレンズのベースカーブは8.6 ~ 8.7mm程度です。これに対し8.4mmがきついというのであれば、9.0mmのトゥルーアイは逆にゆるすぎることになってしまいます(もちろんそんなことはありません)。
コンタクトレンズのデータは、あくまで参考値。実際に眼に入れてみなければ、付け心地も、眼の上でのレンズの動きも、わかりません。
加えて、ソフトコンタクトレンズの場合、柔らかいので、多少カーブがきつかったりゆるかったりしても、たいていは眼に馴染んでしまいます。その、眼に馴染んだ状態をどう思うかが重要なのです。データ自体はそこまで重要ではありません。
レンズの付け心地に関しては、さすがのクーパービジョン製品というだけあってとても良好ですね。ネットでも「良い」という評判をよく見かけます。
取り扱いは比較的しやすい方でしょう。ただ、他のクーパービジョン製品と同様、表面がツルツルしているので、はずすのが苦手な人には若干外しにくいかもしれません。
ただ、コンタクトレンズの取り扱いに慣れている人なら、ほとんど差支えのないレベルですね。後述するデイリーズトータル1に比べれば、数100倍はマシです。
まだ未発売なので価格についてはわかりませんが、先行して発売しているネット通販の価格を参考にするなら、トゥルーアイよりも少し高い程度で、デイリーズトータルワンと同程度といったところでしょうか。
まあ、間違っても「安い製品」ではないですね。
性能が高いので、それ相応の値段がします。
マイデーと他のシリコン1dayの比較
では、マイデーの基本的なスペックがわかったところで、他のシリコン1dayと比較をしていきましょう。まずはシリコン1dayの開祖、ワンデーアキュビュートゥーアイとの比較から。
ワンデーアキュビュートゥルーアイのスペック
メーカー | ジョンソンエンドジョンソン |
タイプ | 1day |
グループ | Ⅰ(非イオン性低含水) |
度数範囲(D) | +5.00 ~ +0.50、±0.00、 -0.50 ~ -6.00(0.25step) -6.50 ~ -12.00(0.50step) |
素材 | シリコーンハイドロゲル |
枚数(1箱あたり) | 30枚/90枚 |
含水率 | 46% |
Dk(酸素透過係数) | 100 |
DK/L(酸素透過率) | 118 |
CT(レンズ中心厚) | 0.09mm |
BC(ベースカーブ) | 8.5/9.0mm |
DIA(レンズ直径) | 14.2mm |
UVカット | 有り |
決して新しい製品とは言えませんが、性能的には1dayトップクラス。まだまだ現役です。
日本では、ダントツの知名度を誇るシリコン1dayですね。後述するデイリーズトータル1も日本では販売されていますが、販売店最大手のアイシティで取り扱いがないので、知名度は低いです。
その点、トゥルーアイは、コンタクトレンズを取り扱っているショップなら、ほとんどどこでも買うことができます。3つのシリコン1dayの中ではいちばん手に入れやすい製品です。
マイデーとの比較
マイデーと比較した時に、トゥルーアイの方が優れているのは以下のような点です。
- 酸素透過率(若干)
- ベースカーブの数
- 度数範囲が広さ
- 価格
- 手に入れやすさ
逆に劣っているのは、以下のような点です。
- 付け心地の柔らかさ
- 乾きへの強さ
このように一覧してみると、全体的にトゥルーアイの方が優れている印象を受けますね。
ただ、各ポイントごとに比較してみると、実際は拮抗している部分が多く、トゥルーアイの方が全体的に優れているとは一概には言えません。
「眼の健康を考えてシリコン1dayを使いたいけれど、装用感が嫌でトゥルーアイが付けられない」という方もいますからね。
しかし、性能と装用感をの両立を重視したマイデーなら、そのようなジレンマを解消できる可能性があります。
レンズを選ぶ際に価格や手に入れやすさを重視するか、付け心地を重視するかで、トゥルーアイとマイデーのどちらが「良い」かはいくらでも変わってくるでしょう。
デイリーズトータルワンのスペック
続いて、アルコン社のデイリーズトータル1。
データ上では、間違いなく、史上最強の1dayです。早速、スペックを見ていきましょう。
メーカー | アルコン |
タイプ | 1day |
度数範囲(D) | -0.50 ~ -6.00(0.25step) -6.50 ~ -10.00(0.50step) |
素材 | シリコーンハイドロゲル |
枚数 | 30枚 |
表面含水率 | 80% |
中心含水率 | 33% |
酸素透過係数(Dk) | – |
酸素透過率(Dk/L) | 156 |
レンズ中心厚(mm) | 0.090(S-3.00) |
ベースカーブ(mm) | 8.50mm |
レンズ直径(mm) | 14.1mm |
UVカット | – |
注目すべき点は、やはり156Dk/Lという圧倒的な酸素透過率。2weekや1monthと比べても、ここまで酸素をよく通すレンズはほとんどありません。
80%という含水率も注目すべき点ですね。ほぼ水です。かなりしっとりとした付け心地がします。
普通、含水率が高いレンズというのは、付け心地がしっとりしている反面乾きに弱くなるはずなのですが、そのセオリー通りにいかないの仕組みになっているのがこのデイリーズトータル1のすごいところ(詳しくはこちらで解説しています)。
デイリーズトータル1は、とにかく健康的でスペックの高いコンタクトレンズを選びたいという方にはおすすめの製品ですね。
マイデーとの比較
マイデーと比較した時に、デイリーズトータル1が優れているのは以下のような点です。
- 酸素透過率(圧倒的)
- 度数範囲の広さ
- 価格
- UVカット
- 付け心地(若干)
- 取り扱いやすさ
マイデーとトゥルーアイと比較した場合に比べると、優れている点・劣っている点がはっきりしている印象ですね。バランスの良いマイデーに対し、デイリーズトータルワンはいろんな意味で「尖った」製品なので比較もしやすいと思います。
デイリーズトータル1は、マイデーに比べ明らかに性能重視。もちろん装用感が悪いというわけではないですが(むしろ充分いい部類に入ります)、それでも、シリコン1dayの中でも特に装用感を重視したマイデーと比べると、やや装用感を犠牲にしている感が否めません。
また、取りはずしにくさも、3種のシリコン1dayの中ではワースト。これはアルコンのデイリーズシリーズすべてに言えることですが、表面がかなりツルツルしていて取りづらいです。
気にならない人はまったく気にならないみたいですが、取れない人は本当に取れない。実をいうと私も取れない側の人間などで、ネットで見かける「滑って取れない」「取り外しが大変」等の意見にはとても共感できました。
人によってはUVカットが付いていないのも気になるかもしれませんね。
と、マイデーやトゥルーアイと比べて、いくつかネックとなる部分もあるデイリーズトータル1ですが、それらを犠牲に得た性能はピカイチ。
全1day中トップクラスの酸素透過率156Dk/Lと、独自のテクノロジーによる抜群の乾きにくさは、数あるデメリットが気にならなくなるくらいのメリット。この2点のためにデイリーズトータル1を選ぶ価値は充分にあるでしょう。
現状、デイリーズトータルワンに対抗できる性能を持ったレンズは存在しません。個人的には、付け心地や取り扱いに難を感じないようであればぜひおすすめしたい1dayです。
従来製品との比較
最後に、クーパービジョンの従来製品である、プロクリアワンデーと比較したいと思います。
プロクリアワンデーのスペック
メーカー | クーパービジョン |
タイプ | 1day |
度数範囲(D) | -0.25 ~ -6.00(0.25step) -6.50 ~ 12.00(0.50step) |
素材 | 従来素材(HEMA素材) |
枚数 | 30枚 |
含水率 | 60% |
酸素透過係数(Dk/L) | 20.5 |
酸素透過値(Dk/L) | 22.8 |
レンズ中心厚(mm) | 0.090(S-3.00) |
ベースカーブ(mm) | 8.70 |
Dレンズ直径(mm) | 14.2 |
UVカット | – |
長らくクーパービジョンの主力製品としてブランドを支えてきた1day。独自の「生体模倣素材」と保湿製品「リピジュア」の合わせ技で、非常に高い乾きにくさを実現した製品です。
非シリコンなので、当記事で紹介した3つのシリコン1dayと比べると酸素透過率はほぼ皆無ですが、その分、シリコンレンズの弱点である「硬さ」がないので、性能よりも付け心地を優先したい多くのユーザーに利用されてきました。
大手販売店でも積極的に販売されていることもあって、知名度も、人気度も高い製品ですね。
マイデーとの比較
マイデーと比較した時に、プロクリアワンデーが優れているのは以下のような点です。
- 装用感(若干)
- 価格
- 酸素透過率(圧倒的)
- 乾きにくさ(若干)
- UVカット
やはりプロクリアワンデーの後継品的なポジションの製品というだけあって、性能面が強化されているような感じですね。酸素透過率に関しては5倍近く上がっているので、大幅強化と言えます。
プロクリアワンデーって装用感はとてもいいのですが、ライバル製品のトゥルーアイやデイリーズトータルワンと争うにはいかんせん酸素透過率が低すぎましたからね。マイデーを発売したことでクーパービジョンもやっと酸素透過率競争に名乗りを上げられたかなって感じです。
個人的な意見としては、マイデーの装用感・価格が気にならないようであれば、プロクリアワンデーを使い続ける意味はほぼ皆無です。
UVカットもありますしね。
マイデーを試してみて乗り換えられそうであれば、そのタイミングで乗り換えてしまった方がいいでしょう。主に眼の健康的な理由で。
まとめ
今回は、マイデーの日本上陸に合わせ、既に先行販売されている2種類のシリコン1dayと、従来製品であるプロクリアワンデーとの比較を行ってきました。
やや主観の入り混じった内容になってしまった感が否めませんが、実際にすべての製品を試し、眼科にいらっしゃる患者さんのリアルな感想、ネットの評判などにも多くに目を通した上での比較なので、それなりに信頼性のあるものになっているのではないかと思います。
マイデーは、記事の中でも何度か書きましたが、既存の2製品に比べバランスに重点を置いたシリコン1dayです。トゥルーアイはコスパの良さ、デイリーズトータル1はとにかく性能重視などと、それぞれがわかりやすい特徴を持っています。
これら特徴を見てみて、最も自分にあったものを選ぶといいでしょう。
個人的には、本当に眼の健康を考えるのであれば、非シリコンのレンズは非推奨。汚れなどによる眼のアレルギー症状の発生を考えるなら、2week、1monthも非推奨です。
どうしてもお金がかかってしまいますが、やはり、ソフトコンタクトレンズ界においてシリコン1dayに勝るものはありません。
シリコンがどうしてもダメだ、というのであれば、非シリコンの中でも性能の高いプロクリアワンデー、バイオトゥルーワンデー、ワンデーピュアうるおいプラスなどを利用していくといいでしょう。
関連リンク
今回の記事に名前が出たコンタクトレンズの個別ページへのリンクを集めてみました。すべて当サイト内のページへのリンクです。
リンク先のページでは、各製品の詳細データの掲載や、その他製品情報、ネット通販で安く買うための価格比較などをまとめているので、興味があれば参考にしてみてください。
シリコン1day
⇒マイデー
⇒ワンデーアキュビュートゥルーアイ
⇒デイリーズトータルワン