あなたは全部言える?メガネを構成する10のパーツの名前とその由来

こんにちは、眼科検査員の小野です。

私は仕事柄、よく患者さんとメガネについて話すことが多いのですが、メガネの部位を口にすると「え?」という反応をされることが意外と多いことに最近気づきました。

たとえば、

私「メガネをかけたまま横になった時とかにツルの部分が曲がっちゃうこととかはよくありますよね」

患者さん「え、ツル?」

私「ああ、この引っ掛ける部分(自分のメガネを指差して)のことですよ」

みたいな。

年配の方だとだいたい通じるのですが、若い方だと「?」という顔をされることがしばしばありますね。(今はあんまり「ツル」って言わないのかな?)

いつもメガネを使っているけれど、各部の名称まで意識したことってないなあ、という方は結構多いんじゃないかと思います。

そこで今回は、コンタクトレンズの話からは少し離れますが、メガネを構成する10のパーツの名前とその由来についてご紹介していきたいと思います。

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メガネの各部位の名称と由来まとめ

1. レンズ

あえて書く必要もないかなと思いましたが、一応。

メガネの度数はレンズの厚みや形状により決まります。近視の方が使うレンズは、レンズの端から中心にいくに連れて薄くなる「マイナスレンズ」、遠視の方が使うレンズは、レンズの端から中心にいくに連れて厚くなる「プラスレンズ」とそれぞれ呼ばれます。

また、厚みが同じでも、度数の入り方によってその役割や見え方は大きく異なってきます。老眼の始まっていない近視の方、もしくは遠視の方が使うのは、1枚のレンズに1つしか度数がない「単焦点レンズ」ですが、老眼が始まると方は1つのレンズの中に複数の度数が入った「遠近両用レンズ」「累進レンズ」「近々レンズ」などの使用も視野に入って来ます。

また、度数に関係なく、色がついているか否か、UVカットが入っているか否か、レンズの前後の面が球面か非球面かなど、細かく分けていけばその種類は膨大なものになります。レンズの材質や加工の仕方、度数の入り方によって価格も大きく変わってくるので、非常に奥の深いパーツだと言えます。

もしレンズについて興味があるようであれば、以下のメガネスーパーさんの記事が参考になると思います。イラスト付きで、非常にわかりやすくまとめられています。

メガネレンズの基礎知識|メガネスーパー

日頃からメガネを取り扱っている私が読んでも勉強になりました。興味がある方は、是非。

2. リム

メガネのレンズを入れる枠のことです。「枠」だとか、横文字の「フレーム」などと呼ばれることが多いこの部分ですが、正確にはリムといいます。「リム(rim)」とは英語で「縁」「枠」を意味する言葉です。

リムはその形状によって名称が異なります。たとえば、

  • 四角いメガネ → スクエア
  • 丸メガネ → ラウンド
  • 上辺が四角く、下辺が丸いメガネ → ウェリントン、ボストン
  • 上辺の外側が尖った鋭いメガネ → フォックス
  • リムレス:縁なし

など。

ちなみに私が使っているメガネはボストンです。

boston

リムの形によって相手に与える印象が違ったり、顔型に合う合わないがあったりするので、メガネにこだわりがある方は、自分にどの形状が合うかを把握しておくといいかもしれませんね。

形状の説明については、JINSさんのサイトが参考になります。

メガネの選び方・セレクト方法|JINS

イラスト付きでわかりやすいので、一見の価値ありです。

3. ブリッジ

このパーツをブリッジということを知っている方は多いのではないかと思います。

小説などでもよく出てきますね。「○○はそう言ってメガネのブリッジを押し上げた。」みたいな。

「ブリッジ(bridge)」とは「橋」のことです。2つのリムの橋渡しをしているから、ということでしょうか。っわかりやすいですね。

なお、日本語ではこの部分のことを「山」と言います。まあ、言われてみればそう見えないこともないですが、海外の人たちはきっと「mountain」とは呼ばないでしょうね。ブリッジという名前の方が合っている気がします。

4. ノーズパッド

鼻に接触し、メガネを顔の上で固定するパーツのことです。

主に樹脂製で、様々な硬度のものがあります。

たまに金属製のものもありますね。

「ノーズ(nose)」とは英語で「鼻」のこと。「パッド(pad)」「当て物」のことですね。

ノーズパッドを略して「パッド」と呼ばれたり、鼻の部分を日本語にして「鼻パッド」と呼ばれたり、「鼻当て」と呼ばれることもあります。呼び方はいろいろですね。

5. クリングス

ノーズパッドを固定する金属パーツのことです。

とても小さくて、「そんな部分にまで名前があるの?」って感じがするかもしれませんが、このパーツをどう調節するかでノーズパッドの角度が決まり、かけ具合が決まってくるので、意外と重要な部分です。

「クリング(cling)」とは「しがみつく」という意味。その複数形でクリングス。「クリングスアーム」などと呼ばれる場合もあります。日本語では「箱足」といいます。

6. リムロック、ブロウ智、ブロー智、智

メガネによっては存在しない部分ですね。金属製のメガネのリムについています。ネジを緩めてレンズを入れ、再度締め直します。

リムをロックするからリムロック。そのままですね。日本語では「ブロウ智」もしくは「智」ともいうらしいですが、なんでそう言うのかはメガネ業者の人もよくわからないのだとか。

7. テンプル、ツル、アーム、腕

耳にかける棒状のパーツです。メガネの中でおそらく最も触れる機会が多い部分ですが、意外と名前を知らない方が多いです。

メガネ業界では「テンプル(temple)」と呼ばれることが多いですね。英語で「こめかみ」表す言葉です。

メガネ屋さんがお客さんに向けて話す時は、「ツル」という場合が多いでしょうか。私も患者さんにこの部位を示す時は「ツル」と言います。最近は通じないことも多いので「ココ」と指を指すようにしています(笑)

何で「ツル」と呼ぶのかについては……よくわかりません。植物の「蔓」なのか、「吊る」という動詞なのか、はたまた別の言葉なのか。

「腕」「アーム」などと呼ばれる場合もあります。

8. ヒンジ、蝶番、丁番

テンプルを開閉する部分の名称です。メガネのパーツの中では、特に壊れやすい部分ですね。かけたまま横になってしまうと曲がってしまうこともあります。

「ヒンジ(hinge)」とは、英語で「蝶番(ちょうつがい)」のこと。蝶番はドアを開閉するパーツのことですね。

メガネもドアに習って「蝶番(ちょうつがい)」と呼ぶ場合もあるようですが、この呼び方はけっこう稀。メガネの場合は「蝶番(ちょうばん)」もしくは「丁番(ちょうばん)」が一般的ですね。

9. エンドピース、鎧

リムとテンプルを繋いだり、ブロウ智を隠したりするパーツのこと。地味ですが意外と重要なパーツです。

英語圏では「エンドピース(end piece)」と呼びます。直訳すると「末端の部品」でしょうか。どう考えても末端ではなく中継地点だと思うのですが、メガネを正面から見れば端っこに位置するので、まあ納得できなくはないですね。

日本語圏では「鎧(よろい)」と言うのが一般的。重要な部分を守るから鎧。鎧の肩の部分に似ているから鎧。由来もわかりやすいですね。

10. モダン、先セル

テンプルの末端部にある部品です。どちらかと言えばこちらの方がエンドピースなのですが、まあ、その話はもういいですね。

「モダン(modern)」とは英語で「現代」を意味する言葉です。実はこのパーツ、メガネができた当初にはありませんでした。メガネが改良を加えられてい過程で追加されたパーツなんですね。

きっと初めてこのパーツを思いついた人はこう言ったんだと思います。「これ、現代風じゃね?」と。安直ですが、これが「モダン」の名前の由来だそうです。

日本では「先セル」と呼ばれますが、これは「先っぽについているセルロイド」の略。セルロイドとは、平たく言えばプラスチックの一種です。

英語圏でも日本語圏でもネーミングが安直なのは何だか可哀想ですね(苦笑)

まとめ

今回はメガネを構成する10のパーツの名前とその由来についてまとめてきました。いかがでしたでしょうか。

「へー、そうなんだ!」という発見をみなさんにご提供できたようであれば、嬉しく思います。

私が働いている眼科の同僚には、もともと某全国チェーンのメガネ屋さんで働いていたスタッフがいるのですが、今回紹介した10パーツの名前を聞いてみたところ、ほとんどの名前を知りませんでした(笑)

特に覚える必要のないことと言えばそれまでですが、覚えておけば、どこかで役立つ場面があるかもしれませんね。

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