ハードコンタクトレンズはいつかなくなってしまうの? その将来性について書いてみる。

古びた時計

使い捨てソフトコンタクトレンズの爆発的な普及により、ハードコンタクトレンズの利用者は年の経過と共に減少しています。

このままハードコンタクトレンズの利用者が減っていったら、メーカーはハードコンタクトレンズの製造をやめてしまうのでしょうか。ハードコンタクトレンズを愛用している人にとっては、重要な問題ですよね。

そこで今回は、ハードコンタクトがこれから先どうなっていくのかについて書いてみようとおもいます。

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ハードコンタクトレンズ利用者の推移(私の働いている眼科の場合)

私が働いている眼科では、コンタクトレンズの処方を求めて来院する患者さんの9割以上は使い捨てのソフトコンタクトレンズです。

もちろん、それにはハードコンタクトレンズと使い捨てコンタクトレンズの交換サイクルが違うことも関係していますが、それは一つの要因でしかなく、ハードコンタクトレンズの利用者が減っているのは紛れもない事実です。私が働き始めた10年前の頃と比べると、その割合は明らかに少なくなっています。

まあ、これは私が働いている眼科の例なので、場所が変われば違いも出てくるでしょうが、「ソフト>ハード」という不等式が覆ることはないでしょう。どこでも使い捨てコンタクトレンズの利用者は増え、その分、ハードコンタクトレンズの利用者は減っていっていると思います。

ハードコンタクトレンズはなくなる?

現在、ソフトコンタクトレンズ利用者は、すべてのコンタクトレンズ利用者の8割程度を占めるといいます。これからもその割合は増え続けていくでしょう。

しかし、ハードコンタクトレンズがなくなってしまうかといえば、そんなことはありません。もちろん私はメーカーの人間ではないので断言はできませんが、たとえどこかのメーカーが製造を中止してしまったとしても、すべてのメーカーが製造を中止することはないでしょう。

それはハードコンタクトレンズにしかない強みがあるからです。たとえば以下に挙げるものがその代表的な例ですね。

  • ソフトの矯正力では補えない強度の近視・遠視
  • ソフトの矯正力では補えない強度の乱視
  • ソフトの遠近両用では実現できない遠見視力と近見視力の両立
  • 円錐角膜

前提として、ハードコンタクトレンズはレンズ自体が硬い分、ソフトコンタクトレンズより高い矯正力を持たせることができます。

ハードコンタクトレンズもソフトコンタクトレンズも、度数が高くなればなるほど見え方の安質は下がっていきますが、ソフトの方が柔らかい分、早い段階から見え方にぶれが生じてきます。

-10.00Dのハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズの見え方を比べてみれば、その違いは明らかです。ソフトコンタクトレンズの方はどうしてもぼやっとした感じが残ってしまいますが、ハードコンタクトレンズの方はまだ明瞭な視界が保てているはずです。

遠視や乱視についても概ね同じことが言えると思うので(特に乱視はソフトとハードで顕著な差が出ます)今回は説明を省きますが、円錐角膜についても少し触れておきます。

円錐角膜とは、その名の通り角膜の中心部が円錐状に前に突き出てきてしまう病気です。原因は不明。そのまま放っておくと円錐化が進み、最終的には先端部に穴が開いてしまうので、意図的に円錐化を抑制する必要が出てきます。その際に使われるのが、ハードコンタクトレンズなのです。

有病率は1,000に1人程度と少ないですが、その1/1,000の患者さんがいる以上、どうしてもハードコンタクトレンズの存在が必要不可欠になります。

まとめ

先に結論を出してしまいましたが、この先ハードコンタクトレンズがなくなるこということは、おそらくないでしょう。

もしハードコンタクトレンズの存在が危ぶまれるとしたら、それはこの先、ハードコンタクトレンズの存在意義を脅かすコンタクトレンズが出てきた時です。でも、そのようなコンタクトレンズがもし出てきたとしても、何らかの形では、ハードコンタクトレンズは存在し続けると思います。

当面のあいだは(具体的な推測はできませんが、少なくとも向こう先50年やそこらのあいだは)、ハードコンタクトレンズがなくなることはないと思います。特に心配する必要もないでしょう。