「夕方になるとものの見え方が悪い」
「午前中は普通だったのに、視界がぼやけたり、二重になったりして見える」
誰もが一度は、経験したことがあると思います。
もしかすると、現在進行形で、悩んでいる方もいるかもしれません。
たしかに、夕方になると、日中に比べてものの見え方は悪くなります。
一体どうしてなのでしょうか。
今回はその理由について書いてみようと思います。
原因について
夕方になるとものの見え方が悪くなる原因は、いくつかあります。主となるのは以下のようなものです。
- 疲労
- 夜間近視
- 眼の乾き
- 老眼
1.疲労
疲労は、夕方以降の見え方が悪くなるいちばんの要因です。
体が疲れると動きが鈍るのと同じように、眼も疲れると、その機能が低下します。
たとえば、眼には毛様体筋という筋肉があります。この筋肉は、眼の水晶体の厚みを変化させ、ピント合わせの能力を司るものです。
毛様体筋に疲労がたまれば、当然、機能が下がります。その結果、ピント調節能力が下がり、近くも遠くも、見づらくなります。
また、眼の疲労は乱視の出方とも関係しています。
乱視はもともと、天候や時間帯、その人の体調などに大きく左右されるものです。眼が疲れていれば、乱視のブレが普段より大きく感じ、ものの見え方が悪くなります。
対処法
疲労による見え方の低下を防ぐには、やはり、眼に疲労を溜めすぎないようにすることが大切です。
眼の疲労はいろいろな要因により溜まります。たとえば、読書、筆記などの近見作業、パソコン・スマホなどのVDT作業、その他普通の生活の中にも、眼に疲労が溜まる原因はたくさんあります。
もちろん、これらが日常生活に密接に関係しており、切っても切り離せないという方もいると思います。現代においてはほとんどの方がそうでしょう。
しかし、眼に負担をかけないよう小さな努力を積み重ねることは可能なはずです。たとえば、作業の合間に眼の休憩時間を設ける、暗い場所での近見作業を控える、近見作業をしている時はできるだけ対象物から顔を遠ざける、など。これらを行うだけでも、眼にかかる負担を減らすことができます。
また、スマホ・パソコン作業が多い方であれば、ブルーライト対策も視野に入れましょう。ブルーライトは、不眠症やうつ病の原因になることが、研究によって明らかになっています。
サプリメントなどで眼に必要な栄養分などを摂取するのも効果的ですね。眼に栄養を蓄え、夜はしっかりと睡眠をとる。これを毎日続けていれば、疲れに強い眼を形成することができるでしょう。
2.夜間近視
あまり聞かない単語なのでイメージしづらいと思いますが、夜間近視とは、その名の通り、夕方から夜間にかけて視力がやや近視寄りになることを言います。
人の瞳孔は、夜、暗くなると大きくなります。そうすると、眼に入ってくる光の屈折が大きくなり、その結果、少し近視の度数が強くなるのです。遠視の方は遠視度数が若干弱まります。近視の方は、その度合いがもっと大きくなります。
対処法
夜間近視は、誰でも平等に起こるものです。眼の異常、というわけでもないので根本からの対処法はありません。
夜間禁止が起こることを想定して、あらかじめ度数強目の眼鏡やコンタクトレンズを用意しておくという強引な方法もありますが、度を強くしすぎると今度は眼が疲れやすくなる可能性があるので注意が必要です。
ドライバーの方など、夜間時に高い視力が必要な方向けの対処法ですね。それ以外の方は、どうしても見づらいという場合以外、「そういうものなんだ」と思ってしまうのが一番なのではないかと思います。
3.眼の乾き
眼の乾きも、ものが見えづらくなる原因の一つです。
人の眼が乾く要因には、いろいろなものがあります。たとえば、冷房・暖房が効いたオフィスなどで作業をしていると、空気が乾燥しているので、眼がすぐに乾いてしまいます。
また、パソコンの画面などを見つめている時も、まばたきをする機会が極端に減るので、眼が乾きます。冷房・暖房が効いたオフィスでのパソコン作業は、乾きのダブルパンチです。
また、これらは外的要因ですが、内的要因がある場合もあります。たとえば、ソフトコンタクトレンズを使用している場合や、もともと眼が乾きやすかったりする場合などです。
ソフトコンタクトレンズは、裸眼や、ハードコンタクトレンズに比べ乾きを感じやすいです。ソフトコンタクトレンズが濡れたスポンジに似た性質を持っているので、レンズ自身が乾くと、眼球上の涙を吸収してしまうのです。
もともと眼が乾きやすい人は、そうでない人と比べて、涙の量が少ない傾向にあります。それが極端になったものが、ドライアイです。
乾ききった状態の眼は、ミクロ顕微鏡で見るとボコボコとした状態になっています。眼が潤っている時は涙が溝を埋めているので綺麗な表面になっていますが、乾くとその溝が露呈してしまうのです。
当然、眼がそんな状態では、クリアな視界を得ることはできません。
対処法
ありきたりな方法ですが、自分にあった目薬を一つ、用意しておくといいでしょう。長く使っていく予定であれば、強い薬品の入っていない、人口涙液タイプのものがおすすめです。
定番なのはソフトサンティアでしょうか。
ソフトサンティアは、眼科などでも買うことができる最も定番な人口涙液です。
目薬を差すのが面倒、あまり好きでない、というのであれば、眼をぎゅっと閉じるようなまばたきを定期的に行うだけでも、効果があります。パソコン作業の合間、ふと思い出した時などに、意識的に涙を生み出すようなまばたきしてみてください。
目薬をしても足りなかったり、常に眼の乾きを強く感じたりする場合は、ドライアイの可能性があります。
ドライアイは、放っておいて治るものではありません。むしろ、放っておくと、眼に傷ができたり、さらに症状が悪化したりする可能性もあります。
少しでも自覚がある方は、眼科でドライアイかどうかの検査を受けてみると良いでしょう。
4.老眼
老眼の症状といえば「近くが見づらい」が代表的ですが、他にもさまざまな症状があります。
たとえば、「眼が疲れやすい」「ピントが合うまでに時間がかかる」「眼がしょぼしょぼする」「夕方になると全体的に見づらい」などといったものです。
私が眼科で検査していると、「夕方になると見えにくい」という声を結構聞きますが、そう訴えてくる患者さんのほとんどが40歳以上の方です。
歳をとると体の機能は衰えます。それは眼も同じで、加齢と共に、全体的な機能が低下していきます。
対処法
現在の科学力では、老眼を治療したり、完全に食い止めることは不可能です。ただ、その進行を遅らせる方法については、いろいろ提唱されています。
それについては以下の記事でまとめているので、興味がある方は参考にしてみてください。
⇒老眼の進行を遅らせる方法4選。同年齢よりも老眼を感じにくくする方法とは?
5.スマホ老眼・夕方老眼
スマホ老眼とは、その名の通り、スマホの使いすぎで眼に老眼のような症状が出ることをいいます。日中に蓄積した疲労が夕方以降に症状となって現れることが多いので、夕方老眼とも言われています。
まあ、言ってしまえば、眼の疲労による見え方の低下にわかりやすい名前をつけただけですね。眼の疲労の原因を「スマホ」や、その画面から発される「ブルーライト」の2つに絞っているという点では、既存の眼疲労とは違うと言えるのかもしれませんが。
ちなみに、パソコン老眼ではなくスマホ老眼なのは、スマホの方が普及率が高いことと、顔に近づけて使うことと、だらだらと慢性的に画面を見続けてしまうことが関係しています。
もちろんパソコンの画面にもブルーライトが使われているので、スマホはほとんど使わずパソコンばかりという人でも、スマホ老眼になる可能性は大いにあります。
ちょっとややこしいですが。
対処法
スマホ老眼についての詳細や、対処法については、以下の記事でまとめています。
⇒スマホ老眼の睡眠×サプリでの対策が基本。片方だけでは不十分?
まとめ
今回は、夕方にものが見えにくい原因5つと、その対処法についてまとめてきました。
現在進行形で、夕方以降の見えにくさに悩んでいる方は、今回挙げた5つの原因の中から、自分に該当しそうなものを選んで、対処して見るのもいいでしょう。
ただ、夕方にものが見にくくなるのは誰でも同じなので、あまり気にしない方がいいというのが正直なところです。