ジョンソン・エンド・ジョンソンの「アキュビュー」といえば、全ソフトコンタクトレンズを代表すると言っても過言ではない有名なレンズシリーズですが、乾きが気になるという声をよく聞きます。
「アキュビュー」が乾くといわれる理由は一体何なのでしょうか。また、乾きの対策にはどのような方法があるのでしょうか。まとめてみました。
アキュビューが乾く理由
アキュビューだけが特別乾きやすい…というわけでもないと思うのですが、乾きやすいという声をよく聞く理由としては、以下の点が挙げられます。
- 比較的含水率が高め
- レンズ縁がシャープになっている
それぞれの理由について、簡単に説明します。
1.比較的含水率が高め
含水率というのは、文字の通り、そのレンズがどれだけ水分を含んでいるかを示すものです。高い含水率を持ったレンズはたしかに付けた時の感触がとてもいいのですが、それと同時に、乾きや汚れに弱くなりやすいというデメリットを持っています。
ただ、これはアキュビューが乾きやすい理由としてはちょっと弱いかもしれません。なぜなら、コンタクトレンズの乾きに対する強さは含水率のみで決まるわけではないからです。他社メーカーの製品には、含水率が70%近くあっても乾きに安いと評価されているコンタクトレンズも存在します。
アキュビューが乾きやすい理由としては、次の「2」の方が大きそうです。
2.レンズの縁がシャープになっている
アキュビュー・シリーズに共通する特徴として、レンズの縁がシャープな作りになっているという点が挙げられます。これについては、画像で見た方がわかりやすいと思います。
[caption id=”” align=”alignnone” width=”320″]レンズの縁と涙の流れ[/caption]
画像はクーパービジョンの公式サイトからお借りしたものです。この画像は各メーカーごとのレンズの縁の形状と、それぞれのレンズが目に付けられた際、目の上の涙がどのように流れるかを模式的に表しています。
この中でアキュビュー、つまりジョンソンエンドジョンソン社のレンズはどれかというと、画像左側に段目「A社」として表されているものがそうです。アキュビューの縁の部分を拡大すると、この画像と同じようにとてもシャープな作りになっています。
画像の右側では、それぞれの縁の形状に対して涙がどのように流れるかが表されていますが、これを見ると、アキュビューのように縁がシャープな造りになっているコンタクトレンズは、レンズと眼とのあいだに涙が入りにくいことがわかるかと思います。
涙がレンズの縁の下を通って内部に入ると、レンズ内外の涙が交換されます。このことを専門用語で涙液交換とい言います。
涙液交換があまりうまくいかないと、人は眼の渇きを感じやすくなると言われています。
乾きへの対策
アキュビューが乾きやすいとされる理由がわかったところで、今度はその対策法を確認していきたいと思います。
私が提唱する乾きへの対策法は、以下の3つです。
- 意識的にまばたきをする
- 目薬を使う
- 上のクラスのアキュビューを使う
- そもそもアキュビューをやめる
意識的にまばたきをする&目薬を使う
もっともメジャーな対策法です。乾きを感じたら対策する、といった感じですね。まばたきをしたり、目薬をしたりすることで意識的に眼へ潤いを取り戻します。
まばたきは、自然にぱちぱちと行っているものではなく、自分の意思で、深く眼を閉じるように行います。涙を出すことを意識しましょう。
目薬を使う場合は、ソフトサンティア等の人口涙液タイプのものがいいでしょう。ソフトサンティアでなくとも、「コンタクトレンズ対応」というような表記があるものなら何でもOKです。
※ソフトサンティアの詳細は以下の記事でまとめています。
上のクラスのアキュビューを使う
一口にアキュビューといっても色々なものがあり、製品によって乾きにくさも変わってきます。たとえば1dayの場合、「ワンデーアキュビュー」に保湿成分を持たせたものに「ワンデーアキュビューモイスト」があり、それよりもさらに乾きに強い最上位製品として、「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」があります。
2weekの場合でも、普通の「2ウィークアキュビュー」より、シリコーンハイドロゲルを素材に用いた「アキュビューアドバンス」の方が乾きに強く、最上位である「アキュビューオアシス」はさらに乾きに強いという位置付けになっています。
このように製品をランクアップさせていくことで乾き対策が行えるのですが、言うまでもなく、現時点でもっとも乾きにくい製品を使っている方は、この対策法を選択することはできません。
※1day、2weekそれぞれの上位製品については、以下の記事で詳しくまとめています。
⇒ワンデーアキュビューモイスト
⇒ワンデーアキュビュートゥルーアイ
⇒アキュビューアドバンス
⇒アキュビューオアシス
アキュビューをやめる
そもそも「アキュビュー」をやめてしまうというのも選択肢としてはアリです。「アキュビュー」よりも乾きに強いと言われている製品はいくらでもあるので、特にこだわりがないのであれば、他社製品に乗り換えてしまってもいいでしょう。
参考までに、より乾きに強いとされているコンタクトレンズをタイプごとにいくつか挙げてみます。
※あくまで「より乾きに強いとされているコンタクトレンズ」です。眼とレンズの相性には個人差があるので、100%乾きにくくなることを保証するものではないことをご了承ください。
1day非シリコン
ワンデーアキュビューorワンデーアキュビューモイストから乗り換える場合。
- プロクリアワンデー(クーパービジョン)
- バイオトゥルーワンデー(ボシュロム)
- ワンデーアクエアトーリック(クーパービジョン)
- メダリストワンデープラス乱視用(ボシュロム)
1dayシリコン
ワンデーアキュビュートゥルーアイから乗り換える場合。
- マイデー(クーパービジョン)
- デイリーズトータル1(アルコン)
シリコーンハイドロゲルを用いた1dayはワンデーアキュビュートゥルーアイを含め3種類しかありません。どれも性能的には最高クラスの製品です。
2week非シリコン
- 2ウィークピュア(シード)
- 2ウィークアクエア(クーパービジョン)
2weekシリコン
- バイオフィニティ(クーパービジョン)
- エアオプティクスアクア(アルコン)
- バイオフィニティトーリック(クーパービジョン)
- エアオプティクス乱視用(アルコン)
アキュビューはよく乾く? のまとめ
ジョンソン・エンド・ジョンソンは企業の規模もとても大きく、コンタクトレンズの世界シェアでも長年1位をキープし続けています。
しかし、だからといってジョンソンから販売されているレンズが全ていいものかと言えば、そうではありません。ブランドがある分値段も張りますし、利用者の感想を聞いていると、やはり乾きやすいという印象を受けてしまいます。
ちなみに、ジョンソン・エンド・ジョンソン自体は長い歴史を持つ企業ですが、コンタクトレンズ部門の歴史は意外と長くありません。
ジョンソンエンドジョンソンの場合、コンタクト部門は数ある部門のうちの1つに過ぎないので、コンタクトレンズ事業に会社のエネルギーの大半を割いているクーパービジョンなどと比べると、どうしても力の入れ方が甘いような印象を受けます。
とはいえ、ジョンソンエンドジョンソンが世界有数のコンタクトレンズメーカーであることに変わりはなく、その主力製品である「アキュビュー」が全コンタクトレンズ中でも特に優れた性能を持つレンズシリーズであることは間違いありません。
記事中でアキュビューが乾きやすいと理由として縁がシャープであることを挙げましたが、レンズの縁をシャープにするとフィット感がよくなると言われています。たしかに乾きやすいのかもしれませんが、付け心地がいいから、という理由でアキュビュー・シリーズを使っている方も多くいます。
以上をふまえまとめると、「アキュビュー」に何かしら不満を感じている方は対策をとった方がいいですが、とくに何も不満を感じていないというのであれば、無理にレンズの種類を変える必要性はないということになります。